レシプロソー使用感想記
先日、お客様から特殊な用途に用いるヒノキの丸太の注文を受け、ひょんなことから、その丸太の長さを切断する作業を行う事となりました。
注文はヒノキの水圧皮剥き丸太で長さ2,600ミリ、末口直径Φ300ミリ、背割りあり、乾燥丸太というもので、表面は無節で水圧で皮剥きしてあるため木肌がつるつるで素晴らしい丸太でありました。
本来は材木組合を通して、産地(奈良県吉野)で長さを切断して(2,600ミリ程度)納品されるはずでしたが、組合の土場には長さ3,900ミリの姿で到着してしまいました。(元口Φ380ミリ)すぐに組合の職員が新木場の製材所に切断する様に手配をかけますが、あいにく手一杯との事で断られてしまい、こちらで切断する事になった次第です。
しかし、このヒノキの皮剥き丸太はほぼ欠点が無く、産地がわざわざ長さを残してこちらで好きに切断出来る様に配慮したとも考えられます。それに切断した残りの部分も十分に利用価値があります。
そこでお客様に丸太の画像を送り切断の判断を仰ぎ、両端700ミリを残し、真ん中の2,500ミリに切断する事となりました。当初は組合の職員が手ノコで「挽きます」との事だったのですが、大変そうな事と、自分でもきれいに挽いてみたいという思いがあり、一緒に切断する事としました。
さて切断するに当たり、手ノコで行うかチェーンソーで行うかと考えましたが、まずチェーンソーは周囲の誰も持っておらず、買うには使用機会があまりになさすぎて割に合わないとなりました。手ノコで職員と二人で頑張るかとも考えましたが、どうしても前から気になっていた電気ノコギリ(レシプロソー、セイバーソー)を使ってみたいとの誘惑に勝てず、これをいい機会と自分に都合良く言い聞かせ、購入する事にしました。
機種は木工機械に定評のあるマキタのプロ用モデルの中でも比較的安価な「JR3051T」(コード式) ※amazonブラックフライデーで¥16,384(税込み)替え刃はゼットソー300ミリ(¥841)と210ミリ(¥696) (※標準装備で鉄・ステンレス用1枚付属)組合の土場にレシプロソーと一応手ノコも持参し、丸太のカット位置を決め300ミリの刃をレシプロソーにセットし、ゆっくりと始動させます。ある程度刃が食い込んだらスピードを上げて行きますが思っていたよりもスムーズで2~3分程で半分位まで進みます。ただし手にかかる振動がかなりあり、そのためにそこで職員と交代します。一番長い300ミリの刃でも丸太を一刀では切断できないので、反対側からも刃を入れます。
切断にはおよそ5~6分でしょうか、多少の目違いはありましたが、切断面はきれいなものでした。周りで見ていた他の職員も最初は冷ややかな目で見ていた様なところもありましたが、思っていたよりもスムーズな作業に「まあまあ使えるな」と思った様でした。
私の周りの材木屋仲間や、付き合いのある職人は昔ながらの仕事の仕方にこだわり、新しい機械や道具にあまり積極的には手を出そうとはしません。このレシプロソーも使う前は鼻で笑う様な雰囲気が感じられました。切断した後も表面上はあまり褒める様な事もなく、私もそんな雰囲気には慣れていますので特に気にはしませんが、「もう少し素直でもいいんじゃないの」とは思います。
レシプロソーを使ってみた結論は「かなり使える」と言えます。年齢と共に手ノコの使用にしんどさを感じていた自分には「楽のできる道具」を手に入れたと言えます。それでもこれまでの様に手ノコも使いますけどね。
※ レシプロソーで真っすぐ挽くにはある程度の熟練が必要な様です。又は治具を工夫するのもいいかも。