原木を製材して材木表面に現れるさまざまな木目は、自然が作り出した模様であり同じ模様は二つとなく、我々の目を癒し、楽しませてくれます。
単純な板目は落ち着いた雰囲気があり馴染みやすく、柾目はすっきりとして気が引き締まります。杢のある材はその存在を強烈にアピールし、材木の持つ多様性とその価値を高めています。
材木は金属や石材などよりは加工しやすく、コクタン(黒檀)のような硬い材でも彫刻はできます。その中でも比較的彫りやすく、彫り口がなめらかになる材を昔から主に彫刻に用いてきました。カツラ(桂)、ホオ(朴)、クス(クスノキ:楠、樟)の他にもケヤキ(欅)、ヒノキ(檜、桧)、ヒメコマツ(姫小松)、ジェルトンなどがあります。
幅の広い材や、長さのある材を取るには通直で直径の大きな原木が理想です。
国産材は資源の枯渇や伐採規制、また資源保護の観点から大径木が得られにくくなっています。輸入材もワシントン条約など資源保護の目的が世界的な潮流となっており、大径木や希少材は年々入荷が難しくなっています。
材木は有効に活用すれば、生活に彩りを与え、豊かにさせてくれます。
資源の保護と共に、計画的な利用で共生を図っていきたいものです。
日本を代表する広葉樹の一つで建築から家具、器具、太鼓の胴など幅広く利用される。
環孔材で力強い木目を持つ。さまざまな美しい杢を生み出し、工芸品や装飾品など利用価値の高い材木です。
カバノキ科の材。流通量は少ない。狂いが少なく強度がある。家具や器具のほか、あて台(指物などの作業台)には最も適している。