天敵再び
四月に入り気温も上がり、半袖のシャツを着るほどの陽気になってきました。この陽気に当店の斜め向かいの小さな緑地公園では幼児や小学生の元気な声が聞こえてきます。とても微笑ましい光景だと感じます。
この時期、元気に活動するのは子供たちだけではありません。ツツジやハナミズキの開花や、新緑が鮮やかさを増す植物にも力強い生命力を感じます。そんな中、力強さを通り越してしぶとささえ感じさせる生き物も姿を見せ始めます。カメムシやショウジョウバエはよく見かけますし、林場の材木の間には様々な虫を見つけます。それでも目に見える虫はまだいい方です。困るのは材木の中に潜んで害を及ぼす虫です。
シロアリ、カミキリムシ(鉄砲虫)、ヒラタキクイムシ、シバンムシなどは材木屋にとっては天敵と言っても過言ではないくらいですが、活発な活動を始める前に少しでも対策をということで、以前に製材して乾燥・養生中のケヤキ材の皮剥ぎと防虫剤の塗布を行いました。
材に樹皮があるとカミキリムシ(鉄砲虫)が潜みやすく、また白太部分にはヒラタキクイムシがつきやすいのでまず樹皮を剥ぎます。一年前にある程度の樹皮は剥いでおいたのですが、今回はすべての樹皮をノミや刃物で強引に削り取っていきます。(表題の写真)
幸いにも穴を開けるカミキリムシ(鉄砲虫)はいませんでしたが、もっとやっかいなヒラタキクイムシの虫害は防げませんでした。この虫は表面上に1~2ミリ程度の穴を開けます。主にナラ、ケヤキ、セン、タモ、ラワンなどの白太部分に潜みます。成虫は3~4ミリ程度の甲虫でパウダー状の粉を出しますので、粉を見たら虫がいると考えてください。上の写真の状態になると被害を止めるためには虫害部分をそっくり取り除くしかなく、カットしていきます。
すべての材を注意深く虫穴や白太部分を確認し防虫剤を塗布します。このヒラタキクイムシはかなりやっかいで、定期的に材を点検し虫害を防ぐ必要があります。
この乾燥・養生中のケヤキ材ですが、製材後2年半が経過し材の乾燥程度を簡易含水率測定器で調べます。
写真の木材水分計(含水率測定器)はあくまで簡易的に測定するもので、厚み66ミリの材の切断面の中央で約14%でした。実際はもう少し高めな感じですが(測定方法によって多少数値が変わる)ある程度乾燥している事は間違いないようでした。
毎年これからやって来るクマバチなど材木屋の天敵はどうも虫が好かないです。無視する事もできないので困ったものです。