ナラ材の現状とこぼれ話

ナラ材の現状とこぼれ話

広葉樹の代表的な家具用材のナラ材(ミズナラ材)は流麗な木目を持ち、表情も美しく、脚物家具や箱物家具には欠かせない代表的な材の一つです。このナラ材に関する現在の状況を、材木屋の視点から少しお話したいと思います。(写真は北海道材の片耳付き人乾材:21mm厚)

ナラ材の良材の供給は主に北海道材が中心でした。私が広葉樹問屋に入った30年前頃には、良材も少なくなり始めてはきていましたが、それを補うようにロシアからの輸入材が入ってきていました。ロシア材(北洋材)は北海道材(道材)と比べても遜色なく、かえって長尺材や幅広材が取れ、お客様にも好評でした。

ところが中国などの木材需要の急増などの影響から、関税の引き上げによる価格の上昇、またロシア自国の資源保護の名目で「ワシントン条約」を締約し(野生動植物の国際取引に関する条約)ナラ、タモ、ベニマツを付属書Ⅲに登録したため(商業取引は可能だが価格は高騰)現在はロシア材のナラ、タモはほとんど入っては来ていません。

現在はナラ材(オーク材)は道材と東ヨーロッパ(ルーマニア、クロアチア等)の材が入って来ています。現在流通する道材は径級も大きくはないので幅広は望めませんが、明るい色の材です。東欧の材は少し目粗で色が多少ついてはいますが、幅広の材があります。また道材に比べ少し軽い感じがします。同時に米国材のホワイトオーク材もナラ材と並行して安定的に流通しています。

このナラ材は鉄に反応して黒くなるという特徴があります。ナラ材の現状とこぼれ話
写真は鉄バンドの跡が黒く鉄汚染したナラですが、ナラの他にクリやクルミなども鉄汚染をします。刃物を研いだ手で削ったばかりの材を触ると翌日には黒く汚れていてガッカリする事があります。これは材に含まれるタンニンが鉄に反応して起こる現象ですが、削ればとれますし、薬品で漂白してもとれます。また、この性質を利用して暗色に染める方もいます。

また国産広葉樹の中では、このナラ材だけがJAS規格(日本農林規格)で、等級を決定するための独自の項目があります。普通は節や、反り曲がり、割れ、キズ、虫穴などの程度で等級が決まりますが、ナラ材だけがそれらの他に白太(辺材)の程度で等級分けするという項目があります。

確かに、ナラの白太は、ヒラタキクイムシの虫害を受けやすい事は事実ですが、それはセンや他の材にも言えます。これは私が広葉樹問屋の経営者の方から聞いたのですが、昔は道材のナラの良質なものはコヒン材・コフィン材(coffin:棺桶)として欧米(主に英国)に輸出される程素晴らしい材でした。白太が少なく、幅が300mmを超え、反り曲がりも少なく、木口には割れ防止の当て木が釘打ちされていました。今ではあまり見られなくなってしまいましたが、おとなしい柔らかい表情の良材です。このコヒン材の輸出時に欧米が安く買いたたくため、また高品質の材を提供させるために設けられた規格が、この白太の程度で等級分けをするという事で、その名残りがそのまま現在まで続いているのだといいます。いかにもありそうな事だなとは思いますが、真偽の程はわかりません。ちなみに米材ホワイトオーク材の等級格付けの基準には白太の有無による等級分けなどはありません。※補足説明あり

ナラ材は仕上がりも美しく、落ち着いた雰囲気の材です。強度や耐久性もあり、家具材としては優秀な材です。ナラ(オーク)にまつわる色々な歴史を思い浮かべながら、ナラ(オーク)の家具に囲まれてみるのもいいのではないでしょうか。

※AHEC(アメリカ広葉樹輸出協会)資料より抜粋 : 特別に指定の無い限り、製材品に含まれる辺材あるいは心材の割合に制限はありません。辺材、心材に関し特別の希望がある場合は、契約書の中で、上限あるいは下限のパーセンテージおよびその算定方法を指定しなければなりません。(広葉樹製材の等級格付け入門より)

最近の日記

まずはお気軽にご相談ください

取り扱い樹種一覧

井口材木店の取り扱い樹種はこちらをごらんください。その他に材木の加工や、木質系材料(ベニヤ、ボード類、集成材等)の取り扱いもございます。

メールでのお問い合わせ

井口材木店へのお問い合わせは、こちらよりメールにてご連絡ください。

お電話でのお問い合わせ

お急ぎの方はお電話でもご連絡いただけます。
(平日8:00〜17:30)
TEL03-3712-9421

井口材木店 | 家具工芸材専門 > 店主日記 > 材木 > ナラ材の現状とこぼれ話