現状の受注例
現在の材木業界での材木の流通に関する現状、特に輸入材は単価、サイズ、流通量などに関しあまり良い状況とは言えない状態になりつつあると感じています。
特に輸入広葉樹材(ウォルナット、ホワイトオーク、ホワイトアッシュなど)については単価が上がり基調です。これは為替の影響や輸送費の高騰などの要因があります。またサイズも平均幅が狭くなっており、幅広材の注文に対応する場合は特に苦労します。またウォルナット材に関しては、今後は耳付き材としても流通するとの情報もあります。ウォルナット材(国内挽き材)は現在は耳摺り材(耳裁ち材)として白太がほぼ付かない材が主流ですが、耳付き材になると白太を含む材になり、赤身での使用歩留まりが計算しづらくなりそうです。
この様な現状でのお客様からの受注には、集材や単価合わせなど大変苦労します。その一例をご紹介したいと思います。
最近の納品例になりますが、お客様のご要望は
・ホワイトオーク(又はナラ)材の甲板
・仕上がり寸法 600 × 700 × 30~27ミリ(700ミリは3枚均等幅剥ぎ:約234ミリ幅)、15台分(45ピースプラス予備5ピース計50ピース)
・片面は無地、赤身(裏面は節、白太OK)
・予算の上限が決まっている
というものでした。以前にこのお客様にホワイトオーク材の納品実績があり、その時の単価を元に予算を算出したとの事でしたが、その時とは幅のサイズも単価も違います。それでもお客様の要望に応えられるかを調べます。
まず使用材はホワイトオーク5/4インチ厚材(実厚32ミリ程度)現地挽き材で白太、節があります。長さは9、10フィート(2,750、3,050ミリ)この長さから600ミリを4ピース取るとします。(5ピースは木口割れなどで難しい)節、白太を考えなければ13丁で間に合いますが節、白太で使えない部材が出ることを見越して3~4丁多めに見る必要があります。また厚みも最低27ミリに仕上がるかは微妙なところです。(幅反りもあるため)
この材で幅240ミリ以上の材を16~17丁揃えるには数バンドルをつぶさなくてはならず、単価も割り増しにならざるを得ず、予算もオーバーしてしまう事をお客様に伝えます。
次に探したのはナラ34ミリ厚材の短尺平板(略して短平(タンピラ):長さ1,650ミリ以下~600ミリ程度材)でした。タンピラならば節、白太もほぼつかず厚みも安定し単価も安価です。ただしタンピラはバンドル単位の取引が基本の上、幅240ミリ以上を含むバンドルが少なく現実的ではありませんでした。
最終的にお客様に勧めたのはホワイトオーク国内挽き34ミリ厚材でした。この材は節、白太が無いグレードで厚みも安定した良材です。ただし単価は高いために長さと幅の歩留まりの良いサイズの材を選んだとしても予算は軽くオーバーします。そこでお客様に予算の上積みをお願いし同時にこちらも単価を若干下げます。
実際の集材は長さ1,900~2,800ミリで幅は240~320ミリとなりました。長さ2,400ミリ以下材が11丁(1丁あたり3ピースで33ピース)、長さ2,500ミリ以上が4丁(1丁あたり4ピースで16ピース)計49ピース分の納品となりました。この240ミリ以上の材も揃えるのにギリギリでした。予算も当初予算の10%増しに収めました。(さらに値引きも実施)
この様に現在の材木の流通状況下ではお客様の要望に応えるためにはいろいろと努力しなければならず、頭を悩ませます。今後この様な状況がこれ以上大変にならない事を願うばかりです。どうぞご理解の程よろしくお願い申し上げます。