樹木の別名
2日前から、店の前の植え込みに彼岸花が咲き始めました。
名前の通りお彼岸の頃に咲く花ですが、別名「曼殊沙華(マンジュシャゲ)」とも言われます。
美しい見た目ですが、根(球根)に毒を持ちモグラ除けに田畑の周囲に植えられる事があり、またお寺のお墓の周囲にも見る事があります。これは土葬の時代のモグラ除けの名残りだと言われています。
花の赤い色や形から炎~火事を連想させたりとあまり良くないイメージを持たれますが、白い色の花もあり最近は印象も変わっています。短い期間に一斉に咲き揃う姿はこの時期ならではのもので、儚ささえ感じられ繊細な美しさが人々を魅了するのだと思います。
彼岸花~曼殊沙華のように別の呼ばれ方をする植物は多く、特に樹木は地域によって呼び名が違うものもあり、商売柄覚えることも必要になります。
自分が修行した材木問屋は北海道出身の方が多く、北海道ならではの呼び方の材がありました。例えば「イチイ(一位)」の事は「オンコ」、「キハダ(黄肌)」の事は「シコロ」と呼んでいて最初は何の材の事か分からなかったです。(イチイはほかにも「アララギ」、「ミズマツ(水松)」などと呼ばれる場合がある)
他にも、複数の呼び名がある材木(樹木)は数多くあります。自分が分かっているだけでも
・ハルニレ・ニレ(春楡)~アカダモ
・アサダ(浅田)~ハネカワ
・ケヤキ(欅)~ツキ(槻)
・ミズメ(水目)~ミネバリ~オノオレ ※諸説あり
・センノキ・セン(栓)~ハリギリ(針桐)
・カバ(樺)~カンバ
・ネズコ(鼠子)~クロベ(黒桧)
・アスナロ(翌桧)~ヒバ ※アスナロ、ヒバは各地で独自の名称があり、ややこしい
・カマツカ(鎌柄)~ウシコロシ ※器具、道具の柄に適する
・ネズミモチ~タマツバキ ※タマツバキの名称は俗称
・ヒメシャラ(姫紗羅)~サルタ ※皮付きのまま床柱に利用
・タブノキ(椨)~タマグス
この他にも地方によっては独自の名称がある材が数多くあります。
材木もできれば「曼殊沙華」のように麗しい名称をつけてもらいたいものです。せめて「ウシコロシ」は「極楽牛」とか「サルタ」は「登猿樹」とかどうですかね。 (ダメでしょうね ⤵ )