樹種見本作成中です
私が材木業界に入ってこの4月で30年目になります。当初は新木場(当時の所在地は新砂)の広葉樹問屋に入った訳ですが、27歳での会社員からの転身に後戻りは出来ないと腹をくくった事を昨日の事の様に思い出します。
一般には新入社員は入社後、研修などを受けますが、材木業界も同様に各社の新入社員が合同で研修がありました。市場や製材所、銘木問屋など関連施設を見学し流通の実態を理解します。内容は忘れましたが講習も受けました。この研修で一番良かった事は、この講習時に希望者が購入できる資料の中に、「木材ノ工藝的利用」「大日本有用樹木効用編」(※補足説明あり)という本の一部抜粋した冊子があった事です。実際は他の資料と合わせ3冊の冊子ですが、日本での木材の利用法や樹種の使われ方、木製品にはどの樹種が適しているかなど詳しく書かれています。今では目にすることの無い樹種も載っていますが、堅木屋にはバイブル的な存在だと個人的には感じています。この本を読むと、日本には多くの樹種を有効に利用してきた歴史がある事がよく判ります。まさに適材適所という言葉が当てはまります。先人たちの知恵と努力には感服するばかりです。
驚くほど多くの種類の材木が有効利用されてきた日本ですが、現在では需要が無かったり、材自体の入手が困難だったり、他の素材に取って代わったりして流通する樹種は減っています。また良材(木目や木味、サイズなど)も昔に比べ少なくなったように感じています。そんな中、多くの方に材木の種類とその魅力を知って頂けるように樹種の見本を作ることにしました。とりあえず12種類ほど選びましたが徐々に増やせればと思っています。サイズは90×90×10ミリのコースターサイズです。頒布方法は追ってご通知いたします。よろしくお願いいたします。※補足 : 「木材ノ工藝的利用」と「大日本有用樹木効用編」の要約された冊子で3冊です。
「木にはつかい方がある」その1~3 1981年 編集・発行:(株)木材調査会
「木材ノ工藝的利用」 明治45年 農商務省山林局 編; 出版者: 大日本山林会
「大日本有用樹木効用編」 明治38年 諸戸北郎 著; 出版者: 嵩山房