杢目の嗜好

この日は長年お世話になっています、A木工さんの展示即売会に行ってきました。
会場には、高い技術を持つ職人さんや研鑽を積む若手の作品が数多く展示されており、どれも工夫をこらした素晴らしい出来で、とても活気にあふれた素敵な雰囲気でありました。
中でも画像のカバの縄目(ギラ)を特徴的に使った丸テーブルは特に目を引きました。
このカバ材は当店からお買い上げ頂いたもので、元のサイズは2,400×440×115㎜の全面に縄目(ギラ)の入った材でした。カバ類にはこの縄目(ギラ)が出やすく、海外のウッドワーカーでは好まれる素材ですが、日本では一般的には敬遠される傾向にあります。
派手な見た目は好き嫌いがハッキリと別れるところですが、加工する職人さんは、入り組んだ木目の仕上げに逆目が立つ点や、塗装にムラが出ることなど否定的にとらえる方もいます。また、量産家具や、シリーズ物の家具の場合、同じ模様の縄目材の確保が難しいことも避けられる一因と考えられます。
カバの縄目(ギラ)と同様に、好みのハッキリと別れる材にナラの柾目に出る『虎斑(トラフ)』があります。(☞『ナラ材の在庫のご案内と虎斑の話』 )
ヨーロッパから輸入されるアンティーク家具には、この虎斑が特徴的に用いられているものが多く、製品の価値をより高めています。一方、日本ではナラ(オーク)の突板や突板化粧合板の柾目には、虎斑の目立つものは、まず見かけません。これは需要がないことが大きな理由と思われますが、そのことからも好みがハッキリと別れる材であると言えます。
私個人としては、賑やかな杢目の材も、おとなしい木目の材もどちらも好きです。材木屋の都合のいい意見になってしまいましたが、木目の好みは人様々だと思います。家具を選ぶ時にはそれぞれの好みを優先して頂きたいと思います。それが長く愛用する理由になると思いますので。