倒木の九相図(くそうず)

倒木の九相図(くそうず)

三月に入り最初の日曜日、この日は日中の気温が18度と暖かく、運動も兼ねて定番の散策コースの『林試の森公園』から『目黒不動尊』を訪ねてきました。

『弥生』の名が示す通り『草木がますます生い茂る』三月を迎えて、『林試の森公園』では、『河津桜』が満開で多くの方が花見を楽しんでおりました。倒木の九相図(くそうず)
また、よく観察をすると様々な樹木が芽吹いているのを見つける事ができます。

ハンカチノキ (ハトノキ、ユウレイノキ)倒木の九相図(くそうず)ニシキギ(カミソリノキ、ヤハズニシキギ)の冬芽 ※枝にカミソリや矢筈に似た翼が見られる倒木の九相図(くそうず)
新しい息吹を感じる一方で、興味深い展示もありました。表題の写真は『ユーカリ』の『倒木自然観察樹木』です。

倒木した樹木が年月の経過とともに、どのように自然に戻って行くのかを観察してゆくもので、すでに13年が経過しましたが、はたして土に還るまで見届けることができるのか、そこまで長生きできる自信はなく、こちらが先に土に還りそうです。倒木の九相図(くそうず)『林試の森公園』は元は林業試験場ということもあり、公園内の樹木の種類と位置を表示した看板もありますが、目当ての樹木が見つからない場合もあります。公園の職員に聞いたところ、自然に倒木したり、近隣にはみ出す為に伐採したりで減っているとのことでした。

 

静かに生を終えて朽ちて行く樹木を目の当たりにすると、仏教絵画の『九相図』が連想されたり、倒木の上に発芽する『倒木更新』が想像されます。この後に訪れた『目黒不動尊』では、お参りをしながら仏教的な『輪廻転生』にも思い至り厳かな気分になります。

華やかな花見や新芽の芽吹きに感じられる生き生きとした感情と、ひっそりと朽ちて行く倒木に抱いた無常の感情と、複雑な思いを抱いた一日でありました。

 

 
※ 九相図(くそうず)  仏教絵画で、腐敗し白骨化して行く亡骸を九つの段階で描いた図
※ 倒木更新      倒木した樹木の上に新たな樹木が育つこと   参考図書  『木』 幸田 文 著 1992 新潮社

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