とても重要な乾燥作業(その2)
広葉樹を扱う堅木屋にとって、乾燥はとても重要な事ですので前回に引き続きご紹介いたします。
広葉樹を商う材木商は、しっかりと乾燥させた材をお客様に提供する事を心がけているという事は前回申し上げました。厚さ九分板(27ミリ)、一寸一分板(34ミリ)当たりの厚みの材が出荷量が多いので天乾作業はこの厚みの材を中心に行われる事が多いです。この辺りの材は一年程で大体乾燥します。(樹種にもよる) 厚さ二寸二分(66ミリ)以上の厚盤になると、乾燥も時間がかかり、その長い乾燥の間に割れや(木口割れや表面割れ)反り曲がりねじれ、腐れ、虫食いなど様々な欠点が発生します。材木屋はその発生を極力防ぐ為の手立てを講じています。
木口割れはどんな樹種にも多少は入ってしまいますが、その被害を最小限に留める為に、大きな割れには、鎹(かすがい)、Sカンを打ち込み、小さな割れには割れ止め塗料(木工用ボンドを水で薄めて使用が一般的)を木口周りと材表面の板目部分に塗るなどします。表面の割れには新聞紙を貼ったり、ガーゼを貼った上から割れ止め塗料を塗ったりと色々な方法で工夫をしています。(専門の塗料も普及しています)
反りや曲がりを防ぐには、桟積み時に一段ごとに木裏・木表を交互に積む、一番上と下の空気に触れる段は木裏を出す、桟棒の位置を正確に合わせ高く積んで重量をかける等、細かい事ですが少しの手間が歩損を防ぎます。
厚盤は長い乾燥時間の間に表面はうす汚れて黒っぽくなってしまいますが、しっかりと乾燥させた証です。削れば本来の表情を見せてくれます。
乾燥時間が長くなる程、材木屋はその間在庫として抱える訳ですから、収入にはなりません。しかしお客様にはしっかりと乾燥させた材を提供する事が材木屋とりわけ堅木屋の使命だと思っていますから、顔で笑って頑張っています。どうぞご理解の程よろしくお願いいたします。
※写真は広葉樹問屋の厚盤の天乾風景(私の古巣です)