木材の魅力って?(番外編)

木材の魅力って?(番外編)

ここまではいくつかの視点から木材の魅力をご紹介してきましたが、今回は「光あるところ影あり」と言う事でもありませんが、木素材のいろいろな欠点とその対処法を材木屋の視点から考えていきます。

木材には他の素材には無い特徴がある事はご紹介いたしましたが、反対に他の素材より劣る点もあります。自然素材ゆえに避けられない欠点とその対策を、材木屋はどのように行っているかをお話ししていきたいと思います。

まず、主な欠点に対し、材木屋が取る、材の養生中の対策や気をつけている事を挙げて行きます。

1.腐る - 水や湿気の多い状態で起きやすい。この対策は水気・湿気を遮断する、常に乾燥する状態を保つ、カビを生やさない。
2.反る曲がる - この対策は、天乾中に桟積みを丁寧に行う。重量をかける。(それでも反ります、曲がります。)
3.割れる - 表面割れには割れ止め塗料を塗る。木口割れは鎹(かすがい)を打つ。直射日光を避ける。(それでも割れます。)
4.燃える - 火気は厳禁。(余談として秋葉神社のお札(火防神)を祀って(まつって)いる店も多い。)
5.虫害 - 虫が来ない事を祈る。

次に、エンドユーザー(最終顧客)の方が無垢材を使用(利用)する時に気をつける点も記しておきます。

1.腐る - 水回りに無垢材を使用する場合は使用後しっかりと乾燥させる。カビを生やさない。耐水性のある塗料を塗布する。
2.反る曲がる - 反り止めの工夫を施す(木組み、端喰(はしばみ)、裏桟など)、完全乾燥材を選ぶ。ビス等で強固に固定する。
3.割れる - 表面に塗装を施して環境による影響を軽減する。完全乾燥材を選ぶ。直射日光は避ける。
4.燃える - オイルフィニッシュやワックス拭きに使用した布や紙は自然発火する場合がある。(処理は適切に!)
5.褪色・経年変色 - 塗装(ウレタン、UV)など厚めの塗膜で保護する。直射日光は避ける。
6.虫害 - 虫が来ない事を祈る。

以上の他に材木の欠点として、「節(死節)」、「入皮(いりかわ)」、「あて」、「脂壺(やにつぼ)」などがあります。この様な材は出来れば避ける事をお勧めしますが、全く使えないという事でもなく、かえって材木屋では安価に提供してくれるところもあります。
*「死節(しにぶし)」 - 抜け落ちやすい節、または抜け落ちて穴の開いた節。
*「入皮(いりかわ)」 - 樹木の表皮の損傷した部分が巻き込まれて成長し、表面にその部分が出ている材。
*「あて」 - 傾斜地などで生育した樹木を製材すると、年輪幅に不均質な部分が出る。反り曲がりの要因となる。
*「脂壺(やにつぼ)」 - マツなどの針葉樹に多く、樹木内部に粘着質の樹脂がたまり、穴や筋として材の表面に現れ脂(ヤニ)を出す。

自然素材である木材は、他の素材に比べ上記のような欠点があります。ただしこの様な欠点は見ようによっては利用価値があるものもあります。一例を挙げてみます。
1.腐る - 朽ち木はオブジェとして利用される事もある。イタヤカエデやトチの朽ち木に現れる黒い筋模様は正倉院の御物にも見られる。
2.反る曲がる - 通常は反り曲がりは欠点だが、極端な物は造形で重宝される事もある。
3.割れる - 干割れは無い方がいいですが、大きな割れに「千切り」を意匠的に入れたものは、かえって魅力的になる事もある。
4.燃える - 「焼杉」は表面を焦がす事により耐久性、耐候性を高めます。またブラシでこすって木目を浮き立たせた物も面白いです。
5.褪色・経年変色 - クワやクリなど、時を重ねるごとに味わい深い色味に変わっていく材は、「和風」の領域では欠かせない材です。
6.虫害 - シロアリやヒラタキクイムシは論外ですが、フナクイムシ(貝の仲間)の孔跡材は個人的にとても興味深い。

木材は様々な素材の中では、人間の感性に一番近いところにある様に感じます。欠点さえも魅力的に感じさせる素材だと感じていますが、言いスギでしょうか。

木材の魅力って?(番外編)*上の写真は虫蝕、腐蝕、水蝕された枝 (材不明)
*下の写真はフナクイムシの虫蝕孔の開いた小丸太(内部の虫蝕孔は複雑で面白い)
*画像、追加しました。

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