ケンポナシ材とカリン材

ケンポナシ材とカリン材

10月に入り気候も涼しくなり、汗かきの自分には過ごしやすい季節となりましたが、気温の寒暖差の変化による、体調の変調には気を付けたいところです。

街中のスーパーの店頭には、リンゴ、カキ、ナシ、ミカン、ブドウ、クリなど今が旬の果物などが並び、色も鮮やかに、買い物客の購買意欲をそそります。

一般に流通する材木にも、食用の果実が生る樹種が有ります。クリ、クルミ、イチョウ、カキ、オリーブなどなど。(マイナーなところではトチ、クワ、カヤなどが有り。)因みに、食用のサクランボの生るサクラは、材木としては利用がされてはおらず、種類が違います。

また、リンゴ材やウメ材、ナシ材は一般的には流通してはいませんが、年に数回は在庫の有無の問い合わせがあります。ほとんどが商業的な利用というよりは、個人的な利用が目的の様でしたが、ウメ材は在庫があった時もありましたが、リンゴやナシは入手方法がほぼ無く、事情を説明して諦めてもらうしかありませんでした。

表題に掲げた写真は「ケンポナシ」(左)と「カリン」(右)です。名前から食用果実のナシとカリンを思い浮かべる方もいらっしゃると思いますが、全くの別物です。

「ケンポナシ」は「玄圃梨、献保梨、枳椇」、クロウメモドキ科 「木材ノ工藝的利用」より引用すると、「木理は桑材に酷似するを利用す。洋家具、家具指物、(火鉢、文房具、机等)、洋風建築及び指物彫刻、木象嵌。材の杢理美にして音響伝導に適するを利用す。(代用)三味線胴」・・・と説明があります。美しい杢が出る材でも有名です。加工もしやすく美しい材ですが、流通量は少ないです。

「カリン」は「花梨、花櫚」、マメ科 「木材ノ工藝的利用」より引用すると、「紋理材色華美にして音響の伝導を利用す。三味線胴、月琴胴。材の紋理材色の華美なるを利用す。建築装飾材(紫檀と略同)、家具指物(紫檀と略同)、挽物(念珠、算盤珠等)、玉突台、玉突杖の手元、ヴァイオリン弓、額縁、洋傘柄、洋杖、刷子木地、洋風建築及び指物彫刻」・・・と説明があります。唐木の代表的な材で、瘤杢の材も美しいです。

一方で、食用のカリンとナシは、バラ科の植物ですが、バラ科のナシの種類で「ペア: Pear」材もありますのでややこしいです。「ペア」は肌色の散孔材で楽器や象嵌、彫刻などに利用され、黒く染色してコクタンの代用材として使われる事もあるようです。  
(※ 追記  現在は「肌色」 → 「うすだいだい色」と言い換えられています。)

食欲の秋ということで、リンゴやカキにナシと食卓を彩るフルーツが食欲を満たしてくれますが、ケンポナシやカリン、クリ、クルミ材で、創作意欲も満たしてみませんか?

※「木材ノ工藝的利用」 明治45年  農商務省山林局 編; 出版者: 大日本山林会
※「月琴」・・・ 中国発祥の弦楽器 胴が円形で満月を連想させる事が由来ともいわれる
※「玉突台」及び「玉突杖」・・・ ビリヤード台及びキュー
※「洋杖」・・・ ステッキ
※「刷子木地」・・・ ブラシの木地

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