カランタス

カランタス

連日の猛暑の中、この日は古い在庫の整理作業を汗だくになりながら行っていました。

林場の奥の方から2~4メートルの在庫を出して行きます。カバ、セン、ケンポナシ、ケヤキ、ナラ、タモ、カツラ、ホオ、イタヤ、シラカシ、などなど。樹種もサイズもバラバラの材ですが、お客様には『よくこれだけの種類の判別がつきますね』と言われたりします。長い天乾の期間には表面が薄汚れたり日焼けたりして、さらに判別が難しくなったりしますが、30年以上毎日材木を触っていれば意外と判別が出来てしまうものです。(自慢ではありません)

そうは言っても時にはよく判らない材もでてきます。(☞『この木なんの木?』)その場合は樹種見本や専門図鑑・文献を調べたり、仲間に聞いたりしますが、明らかに自分の知識不足によるものです。

ただし、時には業界内でも判別に迷う樹種も出てきます。この日、在庫を整理していて出てきた画像の材ですが、材の表示は『優良ラワン平割』とあります。(サイズ3,400×580×34㎜)しかし実際は『カランタス』材です。(判別しやすい様に左下を一部削っています)

以前の日記にも書きましたが、→(南洋材原木を大量に輸入していた頃には「M.L.H.」(Mix Light Hardwood 又は Miscellaneous Light Hardwood)と呼ばれる樹種名不明の材が ラワン類などと一緒に輸入され、一部流通していました。その頃の材が残っている事もあります。)→このように「M.L.H.」と判別されたかもしれません。

『カランタス』材は流通量も少なく、あまりポピュラーな材ではありませんが、加工しやすく、素直な良材です。

・カランタス(センダン科) :  『この材は高級タバコの箱用に非常に多くの需要があるという。家具類、キャビネット、楽器類、彫刻材、模型材など多くの用途をもっており、その他建築材としても使用される。なお材にはCEDARのような香気がありシダーの代用材としても用いられる。』 : 新編輸移入原木図鑑 改訂版 1976 社団法人 全日本検数協会 より引用

当店にはカランタス材の在庫が5丁あります。厚みは34㎜、サイズはお問い合わせください。

ラワン材をはじめとする南洋材は数多くの樹種が昭和の高度成長期には大量に輸入され、国内の木材需要を満たしてきた功労者と言えます。このラワン表記のカランタス材を見るに、当時の慌ただしさや大らかさを感じずにはいられませんが、どう思われますでしょうか?

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