神代(じんだい)材

地中に長い年月埋もれていた樹木を掘り出した材は「神代(じんだい)」と呼ばれ、銘木として取り扱われています。特に「神代杉」が有名で、色合いが黒く濃い材を「黒神代」、茶褐色を帯びた材は「茶神代」と呼ばれ珍重されます。
主な用途は室内装飾用(天井板、建具、腰板、欄間)や、指物、細工物、寄木、木象嵌として珍重されます。特に天井板としては茶神代を網代に編み、数寄屋風座敷の天井に用いられるものがあります。(「目黒雅叙園」の神代杉を用いた網代天井はその見事さと豪華さで一見の価値があります。)
「神代杉」は火山噴火による降灰によって埋没した樹木を掘り出した物が多く、主な産地は天城山の噴火によると考えられる静岡県田方郡大見村筏場(現在の伊豆市筏場)や、鳥海山の麓に位置する秋田県由利郡仁賀保町(現在のにかほ市)でしたが、無秩序な乱堀ブームによる材の枯渇により現在はほぼ出材は無いようです。
神代は他にも「ニレ」、「ナラ」、「カツラ」などが有りますが、流通量は極めて少なく、貴重な材となっています。
神代材の独特な色合いと風合いは、気の遠くなる程の年月を経てもたらされたものであり、その材を見る度に、単に「神代」と言うだけでは足りない程の物語性を宿していると感じています。
神代杉 size 3,200 × 440 × 60㎜ 、 3,200 × 430 × 60㎜
※ 参考文献 「銘木史」 1986 全国銘木連合会