感じ方いろいろ
先日、新築の住居を建築中のイタリア人のお客様(奥様は日本人)から玄関の幅広の上り板(框兼用)の発注を受け、納品させていただきました。
アメリカンチェリーの一枚板でサイズは2,000×450×50mmで、両木口には深い割れがあり、割れの広がり防止に裏からボルト締め加工、表はウォルナットの千切り(ちぎり)を入れアクセントとし、割れ部分は黒色の木工パテで埋めています。(すみません、写真を撮り忘れました)
お客様との打ち合わせ段階ではチェリーとウォルナットの候補があり、価格と木口割れに入れる千切りが気に入られてチェリーに決まりましたが、納品時にはとても喜んでいただき、こちらもお客様の希望に応えられてホッとしました。(千切りは蝶々🦋の様な形の木片で割れに対する補強などに使う)
お客様は割れに入れる千切りについて、日本の木工技法の一つとしての知識があり、違和感も無かった様なのですが、納品に立ち会った建築会社の若い担当者は「(千切りを)隠しますか?」と聞いて来たのには一瞬「?」となりました。「あぁ、この人は千切りを知らずに補修跡と考えているのかな」と思い、説明しようかと考えましたが、お客様の喜び方が説明の代わりになった様でした。(因みに、当日現場に居合わせた女性は千切りを見て「可愛い」と言っておられました。)
この千切りに限らず材木の外観(木目や形状や色調など)に対する感じ方、捉え方は人によって違います。表題の写真はクラロウォルナットの突板ですが、皆さんはどう感じるでしょうか?(クラロウォルナットはウォルナットのこぶの部分の材)面白いと思うのか、気味悪いと感じるのか、美しいと感じるのかはそれぞれだと思います。
普通は材面の割れは欠点とされ、敬遠されてしまいますが、今回のお客様は割れをあまり気にされず、逆に千切りを入れた「景色」を気に入り、楽しんでおられる様でした。
外国の人達の、材の捉え方の方が大らかで楽しそうに感じるのは、羨ましいなと思います。
※クラロウォルナット突板 サイズ 980×550×0.6mm (厚突き)