卒制の話題
例年10月を過ぎた頃から美大生やインテリア等を学ぶ学生から卒業制作(卒制)に向けた注文や問い合わせが入ってくるのですが、今年も10月の初旬からメールや電話での対応をしたり、受注を受けています。
この日は加工したハードメープル材の納品でした。(表題の写真)
Φ30㎜の丸棒、60×60㎜角、70×70㎜角でしたが、ハードメープルには角材の規格がありませんので10/4インチ材(約63㎜)から60㎜角を、12/4インチ材(約76㎜)から70㎜角を作ります。丸棒も6/4インチ材(約38㎜)から製材して角材にとり、それを挽き物加工して作ります。
発注した学生さんはシナベニヤ(シナランバーコア)に合わせた強度のある無垢材をとの要望でした。シナの無垢材では強度が不足するため、シナに似た色合い・表情の材として「ハードメープル」、「ビーチ(ブナ)」を提案しました。
ビーチの方は角材の規格があり、価格もハードメープルよりも安価ではありますが、柾目面に細かい斑(ふ)があるため、よりシナに近いということでハードメープル材を選択されました。(ハードメープル材にも柾目面に細かい斑が出るが、ビーチよりは目立たない)
(※他にも候補として「カバ(バーチ)の白身材」、「ラミン」などがありますが流通量が少なく、また「ラミン」はワシントン条約により取引が制限されています)
この学生さんと同時に、他3名の学生さんの納品も行いましたが、他の方の注文は合板でした。(シナベニヤ、ラワンベニヤ、シナランバーコア、カット加工あり) この合板素材ですが、無垢材とは異なる利点があると思います。それは、
・幅広い部材がとれる。
・削り加工の手間がいらない。
・比較的安価(無垢材に比べて) などです。
その他にも木口の積層面の見栄えの良い種類の合板もあり、その積層木口を強調した作品は見た目も美しかったです。
(普通ラワン合板、普通シナ合板に比べ、積層ピッチが細かい事や(プライ数が多い)、ピッチ厚が均等など見た目が良い)
左から「シナアピトン合板」、「木型用シナ共芯合板」、「シナ共芯合板」、「白樺合板」、「バーチ合板」
※「木型用シナ共芯合板」は表面単板の厚みが厚くなっている。
各種合板の表面 ー 左から「ラワン合板」、「シナ合板」、「白樺合板」、「バーチ合板」
(※ラワン合板は色にバラつきがあります。白樺合板・バーチ合板は赤身が混じります)
当店から材を購入された学生さんからは、完成した作品の画像を送っていただいたり、卒制展の案内を戴いたりすることがありますが、材木屋として少しでもお役に立てたのだとすれば、とてもうれしいことだと思いますし、材木屋冥利に尽きると感じます。
卒制に勤しむ学生さんには、是非とも思い通りの作品を完成されることをお祈りしています。どうか悔いのない学生生活を全うされます様に!