偽心(ぎしん)

偽芯(ぎしん)

『偽心』(ぎしん)という言葉からは一体何を想像されますでしょうか?

松本清張氏や湊かなえ氏の作品の題名の様な、はたまた『疑心暗鬼』や『猜疑心』にも通じる何か不安を感じさせる様な言葉ですが何だと思われますでしょうか?

実はこれは木材の木質部の特徴の名称の事を指します。材木屋でも特に広葉樹を扱う方には馴染みがありますが、一般的にはあまり馴染みがない専門用語です。

『擬心』とも書かれる場合がありますが、字面のごとく『偽物の心材』という意味です。

丸太を輪切りにした材の中心部から広がる色の濃い部分を『心材』(赤身、赤味)、外側の白い部分を『辺材』(白太)と呼びますが、英語でも『心材』を『Heartwood』と呼びます。(『辺材』は『Sapwood』)

『偽心』とは本来の心材ではなく、様々な原因によって心材部の様に変化した部分を言い、ブナ、イタヤカエデ、トチ、シナ、メープル、ホワイトアッシュ等に見られます。これらの樹種は主に白太部分を使います。偽心部は使えない訳ではありませんが、家具などに商品化した時のイメージや加工性などにより偽心部分は敬遠される場合が多いです。

世界的に森林資源の保護と有効利用が叫ばれる昨今、国産材、輸入材を問わず利用される原木の径級が小さくなり、白太使いの樹種もこれまでの様に偽心はダメなどとは言ってはいられない状況になって来たと感じています。実際に国産広葉樹材や、輸入材のホワイトアッシュは現在流通する材はほぼ偽心が付きます。

白太使いの樹種をお使いの方には、現在の状況をご理解いただき、偽心付きの材もご利用いただくなど柔軟にご対応いただければと思う次第です。それこそ『疑心暗鬼』に駆られる事のない様にお願いしたいです。

偽心(ぎしん)
※ 表題の写真はホワイトアッシュ材の木裏面(偽心がうっすらと広がっている)

※ 下の写真は同じホワイトアッシュ材の木表面

※ 一般的に心材(赤身)は辺材(白太)に比べて耐久性があり、ほとんどの材は心材を使う方が利用価値が高い。ただし紹介した様に主に辺材を使う材や、心材・辺材ともに利用価値の有る材もある。(カバの白太は塗装で色を合わせやすい、エンジュは赤白の取り合わせが魅力)

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