材木業界のはなし
この日は、お客様より依頼されたケヤキの厚盤3丁を製材するため、新木場の製材所に持ち込み、厚みを2枚割り製材にします。
サイズは、3,200×720㎜(中央寸検)、2,100×970㎜(中央寸検)、2,100×910㎜(中央寸検)の3丁で、厚みは全て105㎜です。依頼は反りや、ねじれを取って、厚みを2枚に割るというものです。
製材台車に固定し、片面をナメていきます。
片面の反りやねじれを取って基準面を作り、もう片面も同様にナメて厚みを一定にし、2枚割りにします。(材によっては締まってくるので楔(くさび)を打ち込みます。)
材は木目、色も良く、これからお客様の所で仕上げ作業を待つ事になります。
様々な業界では、その業界独特な慣習や言い回しがあると思いますが、材木業界でも独自の言い方や慣習があります。製材時には「ナメる」、「面(ツラ)をつける:ナメて基準面を作る」、「中通し:厚みを2枚にする」などの言い回しがあります。また、製材所内は騒音のため会話が成り立たず、手の合図で意思の疎通を図る事も普通に行われます。
長さの単位も、メートル、フィート、尺の単位が混在します。体積も立方メートル(立米:りゅうべい)、ボードフィート(board-feet)もしくはボードメジャー(board-measure)、石(こく)の単位が混在し、これらの換算を覚えなければなりません。
この単位をしっかり確認しないと、取引時にえらい事になります。以前にとある方が、材の単価を、「立米」単価と「石」単価をよく確認せず契約したところ大きな損を出したという事がありました。(例えば10万円/石は、36万円/立米になる。)
材木業界は、昔からの伝統が受け継がれる事には、良い面と、そうでもない面があると感じます。良き伝統、慣習を残しつつ、若い方にも働きやすい魅力ある環境を整備しなければこの先どうなってしまうのか心配です。
若い方がこの業界に増える様にならなければ、50代も半ばを過ぎた自分がいつまでも「若手」と呼ばれる現状はどうなのだろうと思ってしまいます。(悪い気はしませんが。)